• グリーンボンドは、国際原則や環境省ガイドラインで掲げるグリーンボンドの核となる4つの要素(調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティング)に適合している必要があります。
  • また、発行体は、グリーンボンドが上記4つの要素に適合しているかについて、グリーンボンド・フレームワーク又は目論見書等の法定書類で説明し、外部レビューを活用することが重要な推奨項目となっています。

外部レビュー

発行体は、グリーンボンド、グリーンボンドプログラム又はグリーンボンド・フレームワークについて、外部レビュー機関によるレビューを活用することが望ましいです。グリーンボンドのレビューには、発行前および発行後のものがあります。発行前には、グリーンボンド又はグリーンボンドプログラム及び/又はフレームワークとグリーンボンド原則の4つの要素(調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理及びレポーティング)との適合性を評価するため、外部レビュー機関によるレビューを活用することが望ましく、発行後には、調達資金の内部追跡管理方法と資金の充当状況について検証するため、外部監査機関又は第三者機関からのレビューを活用することが望ましいです。

外部レビュー機関によるレビューには「セカンド・パーティー・オピニオン(Second Party Opinion)」「検証(Verification)」「認証(Certification)」「スコアリング/レーティング(Scoring/Rating)」など様々な名称があり、また同じ名称であっても、評価する事項や評価規準が異なっている場合があります。
レビューを利用する関係者の理解を容易にするために、レビューを付与する外部レビュー機関は、どの事項について、どのような評価規準に照らして評価を行ったかを、レビューの結果に係る文書等の中で、明確に示すべきです。

レビューを付与する外部レビュー機関が則るべき事項

外部レビュー機関はレビューを付与するに当たり、以下の基礎的事項に則るべきです。

プロフェッショナルとしての倫理規範的事項 誠実性
  • 外部レビュー機関は、常に誠実に行動しなければならず、以下のような報告、情報であると認識した上で、それらに基づきレビューの作成や開示に関与しないこと。
    • 重要な虚偽又は誤解を招く陳述が含まれる情報
    • 業務上必要とされる注意を怠って作成された陳述又は情報が含まれる情報
    • 必要な情報を省略する又は曖昧にすることにより誤解を生じさせるような場合において、当該情報を省略する又は曖昧にする情報
客観性
  • 外部レビュー機関は、先入観をもたず、利益相反を回避し、また他の者からの不当な影響に屈せず、常に公正な立場を堅持すべきである。
  • 外部レビュー機関は、発行体から独立しているべきであり、発行体との間での第三者性が確保されているべきである。
プロフェッショナルとしての能力及び正当な注意
  • 外部レビュー機関は、プロフェッショナルとして、適切な外部レビューを提供できるよう、外部レビューの実施に当たり、その職務遂行能力を必要とされる水準を維持することが必要である。
  • プロフェッショナルとして求められる事項を遵守し、正当な注意を払いつつ業務を遂行すべきである。
  • 外部レビュー機関は、その指示の下で業務を行う者が業務を実施するに当たって、適切な訓練及び監督を受けていることを確認すべきである。
守秘義務
  • 外部レビュー機関は、正当な理由なく、業務上知り得た情報を他の者に漏洩し、又は自己若しくは第三者の利益のために利用してはならない。
  • 守秘義務の遵守に関して、顧客情報の保護に関する方針、体制等を定め、公表又は顧客に提供しているべきである。
プロフェッショナルとしての行動
  • 外部レビュー機関は、プロフェッショナルとしての自覚を持ち、プロフェッショナルとして求められる事項を遵守し、外部レビュー機関全体の信用を傷つけ、又は不名誉となるような行為を行わないべきである。
外部レビュー機関の組織としての要件 外部レビュー方法論・手続きの規定
  • 外部レビューを実施するための組織構造として、外部レビューを適切に実施するための十分な組織体制を有し、外部レビューを実施する方法論や手続をあらかじめ定めているべきである。
専門知識・経験・資格保有者の雇用
  • 付与する外部レビューの領域をカバーするために必要とされる専門的な経験と資格を有する者を相当数雇用しているべきである。
賠償責任保険における対象範囲の規定
  • 専門的分野に係る賠償責任保険を利用する場合、その対象範囲に言及するべきである。

外部レビュー機関が評価するべき事項

SPOについては以下について評価すべきです。

  1. グリーンボンドに期待される4つの要素との適合性
  2. 資金使途となることが想定されるグリーンプロジェクトの種類
  3. 適格グリーンプロジェクトが目標とする環境改善効果
  4. 関連がある場合、グリーンプロジェクトに関連する潜在的な重大な環境・社会リスク(ネガティブな効果)

また、レビューを付与する外部レビュー機関は、その発行体から独立している第三者性及び利益相反の方針に関する声明について、レビューの結果に係る文書等において含め、少なくともこれらの情報を入手できる場所を示すべきです。

外部レビューに関する情報の記載例

❶グリーンボンド発行前のレビュー
評価内容 対象 評価基準
調達資金の具体的使途として予定しているグリーンプロジェクトの適切性を評価するもの。 弊社が定める評価規準
調達資金の充当対象となるグリーンプロジェクトを評価・選定するための規準や、当該規準に基づくグリーンプロジェクトの評価・選定の実施体制の適切性を評価するもの。 弊社が定める評価規準
グリーンボンドにより調達される資金の追跡管理の具体的方法の適切性を評価するもの。
グリーンプロジェクトによりもたらされることが期待される環境改善効果(リファイナンスの場合は、実際に生じた環境改善効果)の適切性(環境改善効果の算定方法や、算定の前提条件の適切性を含む。)を評価するもの。 弊社が定める評価規準
グリーンボンドにより調達予定している資金の使用等に関する最新の情報のレポーティングについて具体的な方法の適切性を評価するもの。    
❷グリーンボンド発行後のレビュー
評価内容 対象 評価基準
グリーンボンドにより調達された資金の管理や、グリーンプロジェクトへの調達資金の充当が、発行前に発行体が定めた方法で適切に行われていたかを評価するもの。    
グリーンボンドにより調達された資金を充当したグリーンプロジェクトによりもたらされた環境改善効果が、発行前に発行体が定めた方法で適切に算定されているかを評価するもの。