• グリーンボンドを発行する際には、「調達資金の使途」、「プロジェクトの評価及び選定のプロセスに関する投資家への事前説明」、「調達資金の管理」、これらの情報に関する「開示」を行うことが推奨されています。
  • また、発行するグリーンボンドが、国際原則や環境省ガイドラインで掲げるグリーンボンドの核となる4つの要素(調達資金の使途、プロジェクトの評価及び選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティング)に適合しているかについてグリーンボンドフレームワークや目論見書等で説明し、外部機関によるレビューを活用することが望ましいとされています。

グリーンボンドを発行する際に、発行体が満たすべき事項に関する詳細な内容はこちらをご覧ください。

調達資金の使途

グリーンボンドにより調達される資金は、明確な環境改善効果をもたらす適格なグリーンプロジェクトに充当されるべきとされています。
また、「明確な環境改善効果をもたらすグリーンプロジェクト」とは、環境面からのネガティブな効果(例:太陽光発電を設置する際に大規模な土地造成を実施し、景観や生態系を損ねること)が、本来の環境改善効果と比べ過大とならないと発行体が評価するプロジェクトです。

具体的な資金使途の例としては、ガイドライン付属書1に記載されているグリーンプロジェクトとして、以下のようなものが挙げられます。

再生可能エネルギーに関する事業

発電、送電、機器を含む

  • 太陽光、風力、水力、バイオマス(持続可能性が確認されたもの又は廃棄物由来のものに限る。)、地熱等の再生可能エネルギーにより発電を行う事業
  • 再生可能エネルギーにより発電された電気を送電する送電線や貯蔵する蓄電池等を設置し、維持管理、需給調整、エネルギー貯蔵等を行う事業
  • 太陽光パネル、送電線、蓄電池等の上記の事業にて使用される機器を製造する事業
  • 太陽熱、地中熱等の再生可能エネルギー熱利用を行う事業
  • 事務所、工場、住宅等で使用する電力の一部又は全てに再生可能エネルギーを使用すること
  • 再生可能エネルギーに資するICTソリューション(維持管理システム、運用システム、最適需給調整等)を提供する事業

など

省エネルギーに関する事業

省エネ性能の高い建築物の新築、建築物の省エネ改修、エネルギー貯蔵、地域冷暖房、スマートグリッド、機器を含む

  • ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)その他省エネ性能の高い建築物の新築に関する事業
  • 事務所、工場、住宅等について、LEED、CASBEE、BELS等の環境認証制度において高い省エネ性能を示す環境認証を取得すべく、省エネ改修(断熱改修を含む)を行う事業
  • 事務所、工場、住宅等に省エネ性能の高い機器や設備を導入する事業
  • スマートグリッドに関する装置の開発、導入を行う事業
  • 省エネルギーに資するICTソリューション(BEMS、HEMS、CEMS、ITS、サプライチェーンマネジメント等)を提供する事業

など

汚染の防止と管理に関する事業

排水処理、温室効果ガスの排出抑制、土壌汚染対策、廃棄物の3Rや熱回収、これらに関連する環境モニタリングを含む

  • サーキュラー・エコノミーの実現に資する事業(省資源・長寿命製品の設計・製造、再生材や再生可能資源等の環境負荷低減効果のある素材の利用、インバース・マニュファクチャリング(回収・分解・選別・再利用の流れをあらかじめ考慮して行う製品の設計・製造)、高度な廃棄物の回収・処理(リサイクル、熱回収を含む。))
  • 有害化学物質の漏えい、揮発、浸透等の防止に係る先進的な設備・技術の導入や代替品の使用等を通じ有害化学物質の環境への排出を抑制する事業
  • フロン類の大気中への排出の防止、回収、破壊を行う事業(フロン類の抑制に資する製品の設計又は製造を含む。)
  • 工場等からの排水の高度な処理、再利用に資する設備を導入する事業
  • 汚染土壌を処理する事業
  • 海洋プラスチックごみによる汚染の防止に資する事業
  • 水質汚濁物質・大気汚染物質・有害化学物質の排出防止と管理、廃棄物処理の管理等に資するICTソリューションを提供する事業

など

自然資源・土地利用の
持続可能な管理
に関する事業

持続可能な農業・漁業・水産養殖業・林業、総合的病害虫・雑草管理(IPM)、点滴灌漑を含む

  • 漁業や水産養殖業についてMSC、ASC等の持続可能性に係る認証を受けるために行う事業
  • 水産資源の保全・回復に関する事業
  • 林業についてFSC等の持続可能性に係る認証を受けるために行う事業
  • 持続可能な植林事業
  • 自然景観の保全及び復元に関する事業
  • 自然資源・土地利用の持続可能な管理に資するICTソリューション(農林水産資源の持続可能性に関するトレーサビリティシステムを含む。)を提供する事業
  • 地方自治体等と連携して行われる、都市の緑地の保全・創出や緑のネットワークの形成等の事業

など

生物多様性保全に関する事業

沿岸・海洋・河川流域環境の保護を含む

  • 湿地やサンゴ礁の保全を行う事業
  • シカ等の鳥獣や外来種による生態系被害防止のために鳥獣害や外来種の防除を行う事業
  • 河川の護岸を自然に近い形に再生する事業
  • 生物多様性保全に資するICTソリューション(衛星、飛行体、IoT等による生態系モニタリング、森林管理システム、鳥獣害防止システム、生物多様性データ解析等)を提供する事業

など

クリーンな運輸に関する事業

エネルギー効率に優れる次世代自動車、公共交通機関、鉄道、自転車、複合輸送、クリーンエネルギーを利用する輸送手段や有害物質の発生抑制のためのインフラの整備を含む

  • 電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車等のエネルギー効率に優れる次世代自動車の開発、製造や、それらを利用するためのインフラの整備等を行う事業
  • 計画的な物流拠点の整備、輸送網の集約、モーダルシフト、輸配送の共同化等を通じて物流システムを効率化する事業
  • エコドライブの支援のための機器(デジタル式運行記録計等)を導入する事業
  • パークアンドライド、カーシェアリングのための施設を整備する事業

など

持続可能な水資源管理に関する事業

清浄な水や飲用水の確保のためのインフラ、都市排水システム、河川改修その他の洪水緩和対策を含む

  • 水源かん養や雨水の土壌浸透などの水循環を保全する事業(グリーンインフラの整備を含む。)
  • 水害の発生の防止のための施設の整備を行う事業
  • 海水を淡水化する事業

など

気候変動に対する適応に関する事業

気候変動の観測や早期警報システム等の情報サポートシステムを含む

  • 物流、鉄道、港湾、空港、道路、水道インフラ、廃棄物処理施設、交通安全施設、民間不動産における防災機能を強化する事業
  • 事業所における気象災害対策や気候リスクの高いエリアからの移転、暑熱対策、原材料の安定確保に係る取組等、事業の持続可能性を確保するための事業
  • 生態系に基づく適応や生態系を活用した防災・減災(ECO-DRR)等のグリーンインフラの整備に関する事業
  • 気候変動に強い作物品種の開発と導入、環境負荷の低い農業の導入に関する事業
  • 気象観測や監視、早期警戒システムに関する事業や気候変動への適応に資するITソリューションを提供する事業
  • 水資源の効率的な活用や渇水対策等の導入に関する事業

など

サーキュラーエコノミーに対応した製品、製造技術・プロセス、環境配慮製品に関する事業

環境配慮型製品やエコラベル認証を取得した製品の開発及び導入、再生材や再生可能資源等の環境負荷低減効果のある素材による包装を含む

  • 環境認証を取得する製品や環境配慮製品を製造する事業(当該製品製造に供する工場・事業場の建築・改修を含む。)
  • 温室効果ガス削減に資する技術や製品の研究開発及び導入を行う事業

など

グリーンビルディングに関する事業

  • 省エネルギー性能だけではなく、水使用量、廃棄物管理等の考慮事項に幅広く対応しているグリーンビルディングについて、国内基準に適合又はCASBEE認証、LEED認証等の環境認証制度において高い性能を示す環境認証を取得してその新築又は改修を行う事業

詳細は以下のガイドライン付属書及び別表(2024/3月改訂版)をご確認ください。

リファイナンスに該当する場合の具体例

  • グリーンプロジェクトに係る金融機関等からの融資を、グリーンボンドによる調達資金で返済(借換)
  • 既に開始し、継続又は完了しているグリーンプロジェクトの資金調達のため発行した債券の満期償還を、新たに発行するグリーンボンドによる調達資金により行う
  • 金融機関等が、グリーンボンドによる調達資金を、既に融資を開始しているプロジェクトへの融資の原資に充てる