- グリーンボンドは、国際原則や環境省ガイドラインで掲げるグリーンボンドの核となる4つの要素(調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティング)に適合している必要があります。
- また、発行体は、グリーンボンドが上記4つの要素に適合しているかについて、グリーンボンド・フレームワーク又は目論見書等の法定書類で説明し、外部レビューを活用することが重要な推奨項目となっています。
❹ レポーティング
レポーティングとは、資金使途に関する最新の情報を、容易に入手可能な形(発行体のウェブサイト等)で開示し、投資家へ事業に関する進捗情報の提供を行うことです。発行した債券がグリーンボンドであることを主張・標榜し、社会からの支持を得るためには、透明性の高い情報公開が期待されます。
開示のタイミングについては、発行体は、全ての資金が充当されるまでは少なくとも1年に1回、かつ重要な変化があった場合は速やかに開示すべきです。
重要な変化とは、資金使途となる資産やプロジェクトの売却、プロジェクトにおける重大な事故など、グリーン性に影響を与える事象の発生が挙げられますが、あくまで一例であり、これらに限定されるものではありません。
開示情報の例
- 調達資金を充当したグリーンプロジェクトのリスト・概要・進捗状況
- 充当した資金の額
- 期待されるインパクト
- 未充当資金がある場合には、その金額又は割合、充当予定時期及び未充当期間の運用方法
- 守秘義務契約がある場合などには、情報を一般化した形、又は集計したポートフォリオ単位で開示することが望ましいです。
- 期待されるインパクトは可能な場合には、定量的な指標が用いられ、その算定方法や前提条件とともに示されるのが望ましいです。
- 調達資金を既に開始されているグリーンプロジェクトのリファイナンスに充当した場合、ⅰ)調達資金のうちリファイナンスに充当された部分の概算額(又は割合)、ⅱ)どのグリーンプロジェクト(又は分類)のリファイナンスに充当されたのか、が開示事項に含まれることが望ましいです。
事業区分 | 具体的事業 | 事業概要 | 進捗状況 | 調達資金総額(発行体資金負担額) | プロジェクト総コストに占める調達資金の割合 | 調達資金総額に占める当該セクターの割合 | 現在までの調達資金充当額 | プロジェクトの存続期間 | 環境改善効果 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
再生可能エネルギーに関する事業 | 風力発電プロジェクト | 風力発電施設を建設して当該施設により発電を行い、電力をFITにより売却するもの | 施設建設中(〇年〇月に発電開始予定) | 〇〇億円 | ○○% | ○○% | ○○億円 | ○年 | CO2削減効果 □□t-CO2/年 |
汚染の防止と管理に関する事業 | 廃棄物リサイクルプロジェクト | 廃棄物をリサイクルして燃料を製造する施設を建設し、燃料を製造するもの。 | 〇年〇月施設建設工事着工予定 | 単純焼却される廃棄物の削減量◇◇t/年 | |||||
自然資源の持続可能な管理に関する事業 | 植林プロジェクト | ■■地域の生態系を保全・回復するため、植林を行うもの。 | 実施済 | 植林により再生された森林の面積▽ha | |||||
合計 | ××億円 | ××% | ××% | ××億円 | ― |
- 現在未充当となっている×億円については、廃棄物リサイクル施設の建設工事の進捗に伴い、◆年★月及び☆月に充当される見込みである。それまでの間、現金又は現金同等物による運用を行う。
- 各プロジェクトの詳細については別途示す。
事業区分 | 具体的事業 | 件数 | 調達資金総額(発行体資金負担額) | ポートフォリオ総コストに占める調達資金の割合 | 調達資金総額に占める当該セクターの割合 | 現在までの調達資金充当額 | ポートフォリオの平均存続期間 | 環境改善効果(CO2削減効果) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
再生可能エネルギーに関する事業 | 太陽光発電 | ○○件 | ○○億円 | ○○% | ○○% | ●●億円 | ○○年 | ◎◎t-CO2/年 |
風力発電 | ○○件 | ○○億円 | ○○% | ○○% | ●●億円 | ○○年 | ◎◎t-CO2/年 | |
蓄電池の製造 | ○○件 | ○○億円 | ○○% | ○○% | ●●億円 | ○○年 | ◎◎t-CO2/年 | |
小計 | ○○件 (うちリファイナンス〇件) |
××億円 | ××% | ××% | ××億円 (うちリファイナンス×億円) |
××年 | ◎◎t-CO2/年 | |
省エネルギーに関する事業 | 省エネ性能の高い建築物の新築 | |||||||
建築物の省エネ改修 | ||||||||
小計 | ||||||||
環境配慮製品、環境に配慮した製造技術・プロセスに関する事業 | 環境認証を取得する製品の製造 | |||||||
小計 | ||||||||
合計 | △△件 (うちリファイナンス□件) |
△△億円 | △△% | △△% | △△億円 (うちリファイナンス△億円) |
- | △△t-CO2/年 | |
未充当資金 (短期金融資産にて運用) |
☆☆億円 |
- 以下、代表的な事業を数例示す。
環境改善効果に係る指標、算定方法等
グリーンボンドガイドラインでは、グリーンプロジェクトに関し、具体的な資金使途、ネガティブな効果、具体的な指標についての例示について、国内外の知見や発行実績等を踏まえ、付属書1別表に一覧表として整理しています。
付属書1及び別表(2024/3月改訂版)はこちら
※当該一覧表に記載の内容は、ICMAのグリーンボンド原則において示されている資金使途の例示の分類を元に、国内の状況を踏まえグリーンプロジェクトとして整理され得るものを例示したものであり、いずれの項目に関しても、包括的な分類を意図したものではなく、ここに記載の内容に限定されるものではありません。また、ネガティブな効果に関する指標に関しては、環境面からのネガティブな効果として想定される主要なものを列挙したもので、事業内容等によっては、これら以外の環境面からのネガティブな効果もありうるほか、社会面からのネガティブな効果等も想定されます。