環境省では、グリーンボンドの環境改善効果に関する信頼性の確保と、資金調達者のコストや事務的負担の軽減とを両立し、国内におけるグリーンボンドの普及を図ることを目的として、国際原則に準拠した形で、2017年3月にグリーンボンドガイドライン2017年版を策定しました。
2020年3月には、グリーンボンド国際原則の改訂やグリーンファイナンスを取り巻く市場動向を踏まえ、グリーンボンドガイドラインの改訂を行い、グリーンボンドガイドライン2020年版を策定しました。
また、2022年7月には各種国際原則の改訂と整合を図るため、グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2022年版を策定しました。
2024年3月、国内外の動向や市場関係者・学識者の知見を基に「グリーンボンドガイドライン」「グリーンローンガイドライン」の付属書1(グリーンプロジェクトの判断指針及びグリーンリスト)の改訂を行い、グリーンリストの充実化等の対応を実施しました。
さらに、同年11月には、ガイドラインの構成変更、国際原則の改訂を反映及び市場の現状を踏まえた解説の追加をするため、グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2024年版を策定しました。
本ガイドラインは、グリーンボンドの市場において国際的に広く認知されているGBP(グリーンボンド原則)との整合性に配慮しつつ、発行体、投資家その他の市場関係者の実務担当者がグリーンボンドに係る具体的対応を検討する際に判断に迷う場合に参考とし得る、具体的対応の例や国内の特性に即した解釈を示しています。
同時に、グリーンウォッシュ(実際は環境改善効果がない、または、調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず、グリーンボンドと称すること)の懸念がある債券が市場に出回る事を防止することに留意しつつグリーンボンドが国内でさらに普及することを目的としています。
また、2020年版以降のガイドラインでは、サステナビリティボンドにも言及し、ガイドラインはグリーン性を持つサステナビリティボンドにも適用できます。
グリーンボンドガイドラインの基本的な考え方
- グリーンボンド市場は、本来、発行体と投資家の間での、十分な情報を基礎とした対話を通じて成熟していくべき。グリーンボンドに期待される事項をあらかじめ整理しておく事は、発行体と投資家の間の対話の基礎となることに加え、これらの者がそれぞれのステークホルダーに対してグリーンプロジェクトに関する資金調達・供給であることを説明する上でも有用である。
- 発行体と投資家の双方にとって、グリーンボンド一般の「グリーン性」に対する社会的な信頼が維持される事は重要。特に、グリーンウォッシュの懸念がある債券がグリーンボンドとして市場に出回ることの防止は極めて重要。
- 国際的に広く認知されているグリーンボンド原則との整合性に配慮。
- 発行体による情報開示、その情報を活用した投資家等による評価が重要。これにより、発行体の対応の多様性を確保しながらも、グリーンウォッシュの懸念がある債券が出回ることに関する市場の牽制を働かせることができる。
グリーンボンドに期待される事項と具体的対応方法については、各要素を4つの階層(「べきである」、「望ましい」、「奨励される」、「考えられる」)で整理し、適格性の指標となるようにしている。
本ガイドラインの構成
- 第1章
- はじめに
- 第2章
- グリーンボンド
- 第1節
- グリーンボンドの概要
- 第2節
- グリーンボンドに期待される事項と具体的対応方法
- 調達資金の使途
- プロジェクトの評価と選定のプロセス
- 調達資金の管理
- レポーティング
- グリーンボンド・フレームワーク
- 外部レビュー
- 第3章
- サステナビリティ・リンク・ボンド
- 第1節
- サステナビリティ・リンク・ボンドの概要
- 第2節
- サステナビリティ・リンク・ボンドに期待される事項と具体的対応方法
- KPIsの選定
- SPTsの設定
- 債券の特性
- レポーティング
- 検証
- 第4章
- 投資家に望まれる事項
- 第5章
- 本ガイドラインの改定
各要素において以下のように整理し、具体的な対応方法を示している。
- 「べきである」事項
- グリーンボンドと称する債券が備えることを期待する基本的な事項
- 「望ましい」事項
- 強く採用した方が良いと考えられる事項
- 「奨励する」事項
- 採用した方が良いと考えられる事項
- 「考えられる」事項
- 例示、解釈等を示した事項