ポイント

水産養殖を手掛ける企業によるサステナビリティ・リンク・ローンの事例

  • Tassal Group社は、オーストラリアでサーモン養殖・海産物食品生産を手掛けている企業。オーストラリアの水産養殖業界で初のサステナビリティ・リンク・ローンの事例。
  • 同社のサステナビリティ・リンク・ローンは、Sustainalytics社によるSPOを取得。SPOでは、ローン市場協会(LMA)等発行の2022年版サステナビリティ・リンク・ローン原則と整合性があることが確認されている。

詳細

発行概要   実行年月 金額(百万USD) 融資期間 利率
1 2022/8 353.92 - -
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Tassal Group社による、初のグサステナブル金融商品による資金調達(Environmental Finance社のデータベースに基づく)。フレームワークはない。

サステナビリティ計画との関係

同社のサステナビリティ・リンク・ローンのKPIsとSPTsは、同社の「責任あるビジネスロードマップ」に沿って設定されている。「責任あるビジネスロードマップ」では、廃棄物、人々とコミュニティー、気候変動、淡水、責任ある調達、ガバナンス、動物愛護のそれぞれについての社の目標を記載。このうち、KPIsに関連していると考えられる目標は以下の通り。

  • 気候変動:①2050年までのネットゼロ、②カーボンニュートラルな養殖場のフラッグシッププログラム(サーモン養殖場とエビ養殖場)の設立、③気候変動による事業への影響を軽減するための取り組みと研究開発に3年間で6,000万ドルを支出。
  • 飼料:①生物多様性、気候、栄養システムにおける飼料の役割を考慮した飼料戦略を策定、②2022年までに、餌のサプライヤーを100%Tassal社の供給プログラムで承認されたサプライヤーにする、③第三者機関のサステナビリティ基準で認証された、または国またはコモンウェルスの漁業管理計画の対象となった水産物を100%使用。
SPTs
  • GHG排出のスコープ1、2、3の削減
  • 餌利用の効率性の向上
  • 水産養殖管理協議会(ASC)認証の維持に必要な継続的な改善
KPIs
  • GHG排出のスコープ1、2、3
  • 餌利用の効率性
  • 水産養殖管理協議会(ASC)認証の維持に必要な活動
ローンの特徴
  • KPIsのパフォーマンスとローンの金利を関連付けている。
レポーティング
  • 不明(ウェブサイトにおける情報開示確認できず)
検証
  • 不明(ウェブサイトにおける情報開示確認できず)
外部レビュー
  • SustainalyticsによるSPO取得。SPOでは、ローン市場協会(LMA)等発行の2022年版サステナビリティ・リンク・ローン原則と整合性があることが確認されている。
  • 出所: Environmental Finance (2022) “SLLのデータ(2022年12月15日ダウンロード)”、Tassal Group社(2022) “Sustainability Linked Loan (SLL)”、Tassal Group社 (n.d.)“A Responsible Business Roadmap 2030”等を基に環境省作成