オーストラリアでのESG情報開示の規定は、「会社法2001」(Australian Corporations Act 2001)の中で定められる。2019年にオーストラリア証券投資委員会(ASIC)によって公表された「規制ガイド」(Regulatory Guide)では、ESGリスク開示の必要性について明記され、TCFD提言に沿った開示も提言している。
オーストラリア証券取引所(ASX)は「コーポレートガバナンス原則及び勧告」(Corporate Governance Principles and Recommendations)を発行し、環境・社会リスクのガバナンス機構の開示のほか、気候変動リスクの考慮とTCFD提言に沿った気候変動リスクの開示を推奨している。

シンガポールでは、ESG関連情報の開示を求める政府レベルでの法規制は、ガバナンスに関するものを除き特に定められていない。
ただし、シンガポール証券取引所(SGX)の上場規則(Listing Rules)によって、2016年より「サステナビリティ報告書」の提出が必須となっている。また、SGXは、同年、「Practice Note 7.6 サステナビリティ報告ガイド」(Sustainability Reporting Guide)を公表し、上場規則が求めるサステナビリティ報告を行うための開示すべき項目と内容を説明している。

香港では、「会社法2014」(Companies Ordinance, 2014)」により、環境ポリシーとその実績を年次取締役報告書において開示することを義務付けている。
また、香港証券取引所(HKEX)は、「上場規則附則27 環境・社会・ガバナンスに関するレポーティングガイド」(Appendix 27: Environmental, Social and Governance Reporting Guide)によって上場企業に対するESG開示の指針と具体的な開示項目を整理している。HKEXは2019年にこの上場規則附則を改訂し、2020年7月以降、上場企業のESG課題に対するガバナンス開示が義務化されることになった。

中国では、環境規制当局による環境汚染に関する開示への取り組みが中心的であったが、近年、政府主導でグリーンファイナンスに関する取り組みが積極的に行われており、その一環で、2016年「グリーンファイナンスシステム構築のためのガイドライン」を公表する等、ESGに関する開示を促進する動きがみられる。
なお、証券取引所としては、深圳証券取引所(SZSE)が2006年に「上場企業の社会的責任に関するガイドライン」を公表し、上海証券取引所(SSE)が2008年に「上場企業の社会的責任の強化に関する通知」および「上場企業の環境情報開示に関するガイドライン」を公表している。

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