米国においては、証券取引委員会(SEC)によって2010年に「気候変動関連開示に係るガイダンス」(Commission Guidance Regarding Disclosure Related to Climate Change)が公表され、気候変動に関するリスクの開示が推奨されている。その後はESG・気候変動に関する情報開示についての大きな動きは見られなかったが、近年、気候変動リスクやESG開示に関する法案が提出されるなどの動向が活発化しつつある。
また、自主的な開示枠組みとしては、米国サステナビリティ会計基準審議会(SASB)により策定された「米国サステナビリティ会計基準(SASB基準)」がある。SASBは、2018年11月に11セクター、77業種分の初版基準を発表している。
米国における証券取引所における取り組みとしては、NASDAQが2019年5月に全NASDAQ全マーケット対象とした「ESGレポーティングガイド」を公表している。
カナダでは、カナダ証券管理局(CSA)が2010年に「環境報告ガイダンス」(Environmental Reporting Guidance) を公表し、環境関連の開示に関する解説を行っている。また、CSAは2019年に「気候変動関連リスクの開示に関するガイダンス」(Reporting of Climate Change-related Risks)として、気候変動リスクに特化したガイダンスも公表した。
トロント証券取引所(TSX)では、カナダ勅許職業会計士協会(CPA Canada)と共同で、2014年、 ESG開示の概要を記載した「環境社会に関する開示の入門書」を公表した。
また、カナダ環境・気候変動省と財務省が主導して設立された「サステナブルファイナンス専門家パネル」(Expert Panel on Sustainable Finance)は、2019年6月に最終報告を公表しており、TCFD提言に沿った気候変動関連情報の開示の方向性について提案を行っている。
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