インパクトファイナンスの基本的考え方/グリーンから始めるインパクト評価ガイド

1.取りまとめの経緯

適切なリスク・リターンを確保しつつ、環境・社会・経済にポジティブなインパクトをもたらすことを意図したインパクトファイナンスについて、概念整理の共有、さらにインパクト評価を実施するうえでの評価手法の整備を行うため、令和2年3月、ESG金融ハイレベル・パネルの下に、ポジティブインパクトファイナンスタスクフォースが設置されました。

7月までの3回にわたる本タスクフォースにおける検討及び関係者との意見交換会において、幅広い視点から闊達な議論が行われ、委員及び各市場関係者より提示された様々な御意見をもとに「インパクトファイナンスの基本的考え方」が取りまとめられました。

その後、さらに3回の更なる議論が重ねられ、令和3年3月には、「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」が取りまとめられました。

2.基本的考え方の内容

この「基本的考え方」は、インパクトファイナンスをESG金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置付け、大規模な民間資金を巻き込み主流化していくことを趣旨とし、その第一歩として、まずは大手金融機関、機関投資家における実践の促進を目的とするものです。

本文書では、インパクトファイナンスの意義、満たすべき4つの要素や、取り組むに当たっての基本的な流れ等を整理しています。

なお、本ガイドのp.11 図3で紹介されているUNEP FI「インパクトレーダー」については、2022年7月に改訂版が公表されています。インパクトレーダー初版で示されていた「インパクトカテゴリー」を改訂版では「インパクトエリア」と「インパクトトピック」によって再整理し、分かりやすさと詳細さのレベルを向上させています。
分析にあたっては改訂版を用いたほうがより詳しい分析結果が得られるものの、初版と改訂版の間で内容や考え方についての変更はなく、初版を継続的に参照することに差し支えはありません。

詳細は添付資料より御参照ください。

3.インパクト評価ガイドの内容

「グリーンから始めるインパクト評価ガイド」は、国際的にも様々な試みがあるインパクト評価について、 先行して取りまとめられた「基本的考え方」を踏まえ、国際的なイニシアティブ等を参考として一定の考え方や手法を整理し、SDGsの達成や2050年カーボンニュートラルの実現に向け、大規模な民間資金の巻き込みを図るものです。

本ガイドでは、特にグリーン(環境)の側面に係るインパクト評価に焦点を当て、「インパクトファイナンスの基本的流れ」(下図)に沿って、基本的な手順を解説するとともに、想定する投融資の性質ごとに相応しいツールを活用できるよう、各イニシアティブにより示されている既存のツールの特徴と、インパクトの評価プロセスにおいてどのように活用できるかを説明しています。
また、評価指標の例、代表的なツール類の使い方、インパクト評価の取組事例集などを付属資料において整理しています。添付資料より御参照ください。

ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース