2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギー等の既に脱炭素の水準にある事業へのファイナンスを促進していくことと合わせて、温室効果ガスの多排出産業が脱炭素化に向かって行くための移行(トランジション)の取組へのファイナンスについても促進していくことが重要です。
2020年12月には、これまでもグリーンボンド原則等を策定してきた国際資本市場協会(International Capital Market Association; ICMA)により、「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」が策定、公表されました。日本においても、金融庁・経済産業省・環境省の共催で、「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」を設置し、2021年5月にトランジション・ファイナンスのための基本指針を取りまとめました。
2025年3月には、基本指針の策定から3年超が経過し、国内での調達実績が進んできたことや、ICMAハンドブックの改訂、国際社会でのトランジション・ファイナンスの重要性についての認識の高まり等、諸般の情勢変化を踏まえ、基本指針の改訂を行いました。
更なるトランジション・ファイナンスの普及・推進に向けて、これまでトランジション・ファイナンスを検討する際のトランジション戦略の策定や適格性を判断するために参照し得る分野別のロードマップの策定や、トランジションの好事例を創出するモデル事業等が実施されています。