ポイント

グリーンファイナンスに積極的なCMPCの初SLLは、同社のSDGsの中長期目標に連動したSPTを設定

  • CMPCは、チリの大手紙パルプメーカーである。セルロース、グラフィック・ペーパー、段ボール、ティッシュペーパー、事務用紙、新聞紙、包装材等の製造・販売を行っている。従業員は約1万9千人おり、中南米、北米、欧州、アジア等、世界45カ国で事業展開している。
  • CMPCは、2020年8月、初のサステナビリティ・リンク・ローンを調達した。融資総額は、1億USDで、期間2年のRCFであり、サステナビリティコーディネーター兼ジョイント・リード・アレンジャーは、BNPパリバである。
  • 当該サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)のとサステナブル・パフォーマンス・ターゲット(SPT)は、温室効果ガス排出量、工業用水の利用削減、工業廃棄物の埋め立て削減、森林の保全・保護・回復に関連した同社の持続可能性目標に沿った形で設定されている。

詳細

概要   実行年月 金額(百万USD) 融資期間 利率
1 2020/8 100 2022/8 不明

今般のローンに先立ち、同社は2019年にチリ、2018年にペルー、2017年に米国でグリーンボンドを発行しており、2019年にはグリーンローンによる資金調達を行っている。

2019年5月、グリーンファイナンスフレームワーク(Empresas CMPC S.A. May 2019 Green Finance Framework)を策定。同フレームワークは、2019年9月のグリーンローンによる資金調達、ならびに同年7月にチリ市場において行われたグリーンボンドによる資金調達に適用。

サステナビリティ計画との関係

CMPCは、中長期的にSDGsの4つの具体的な目標にコミットしている。当該目標は2025年もしくは2030年を達成期限として設定しており、パフォーマンスデータ等の基準年は2018年としている。SPTは、各目標に沿う形で設定されている。各目標は以下の通り。

  1. 2018年比で、2030年までに直接・間接的な温室効果ガスの排出量を50%削減し、気候への影響を軽減する。(SDGs 13.3)
  2. 2018年比で、2025年までに製品1メートルトンあたりの工業用水の使用量を25%削減する。(SDGs 6.4)
  3. 2018年比で、2025年までに、削減戦略を推進し、副産物や廃棄物の新しい用途を見つけることで、埋め立て地への廃棄物ゼロを達成する。(SDGs 12.5)
  4. 2018年比で、2030年までに、保全・保護・回復の対象地域とされている森林を10万ヘクタール追加する。(SDGs 15.1)
SPT

SPTは、温室効果ガス排出量、工業用水の利用削減、工業廃棄物の埋め立て削減、森林の保全・保護・回復に関連した同社の持続可能性目標に沿った形で設定されているとのことだが、その詳細は同社ウェブサイトからは確認できず。

レポーティング

毎年、SPTの進捗をレンダーに報告

レビュー

SPTは、毎年、独立したレビューを実施

  • Environmental Finance (2020) “Green and Sustainability Linked Loans Database”、CMPC (2019) “CMPC Integrated Report We are the Fiber of the Future”、CMPC (2019) “EMPREAS CMPC S.A. Green Finance Framework May 2019”、 CMPC (2019) “CMPC 2019 Green Finance, 2019 Impact Report”等を基に環境省作成