環境省では、サステナビリティ・リンク・ローンのグリーン性に関する信頼性の確保と、借り手のコストや事務的負担の軽減との両立につなげ、国内におけるサステナビリティ・リンク・ローンの普及を図ることを目的として、2020年3月にサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版を策定しました。
また、2022年7月には各種国際原則の改訂と整合を図るため改訂を行い、グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2022年版を策定しました。
さらに、2024年11月にはガイドラインの構成変更、国際原則の改訂を反映及び市場の現状を踏まえた解説の追加をするため改定を行い、グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2024年版を策定しました。
本ガイドラインは、サステナビリティ・リンク・ローンの市場において国際的に広く認知されているSLLP(サステナビリティ・リンク・ローン原則)との整合性に配慮しつつ、借り手、貸し手、その他の関係機関の実務担当者がサステナビリティ・リンク・ローンに係る具体的対応を検討する際に判断に迷う場合に参考とし得る、具体的対応の例や国内の特性に即した解釈を示しています。
同時に、グリーンウォッシュ(実際は環境改善効果等がないにも関わらず、環境面で改善効果があると称すること)を防止することに留意しています。
2024年の改定では、国内において、金融機関が自らの資金調達のためではなく顧客向けに取扱う金融商品として策定する「SLLフレームワーク」による調達が多くを占めること、当該フレームワークを元に調達されたSLLにおいて借り手の「ビジネス全体にとって関連性があり、中核的かつ重要であり、借り手の現在や将来の事業運営にとって高い戦略的意義を有する」とは考えにくい評価指標(KPIs)の設定が見られたこと等の状況を踏まえ、ガイドラインに国内向けの解説を一部追加しました。
これまでも国際原則と国内ガイドラインの内容を遵守するもののみがSLLとされており、「SLLフレームワーク」についても国際原則及び国内ガイドラインの内容を遵守する必要があるのは当然のことであって、2024年の改定でその点についての考え方を変更した訳ではありません。しかしながら、国内市場において懸念のあるKPIsの設定等があったことを踏まえて、2024年の改定で追加的な解説を記載しました。