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グリーンローン原則（Green Loan Principles: GLP）
グリーンローン原則（GLP）は、グリーンローン借入に関する自主的ガイドラインです。GLPは、グリーンローン商品の開発を促進し、誠実性を維持するため、シンジケートローン市場で活動している主要な金融機関の代表から成る作業部会によって2018年に策定され、その後逐次改訂が行われてきています。GLPは、ローン・マーケット・アソシエーション（LMA）、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション（APLMA）、ローン・シンジケーション＆トレーディング・アソシエーション（LSTA）が発行元となっています。
2023年８月現在の最新版はGLP（2023年版）
、以下はその概要です。GLP（2023年版）は、4つの核となる要素で構成されています。以下はその概要です。
なお、2020年5月には、Q&Aを中心としたガイダンスを公表しています。2023年９月現在のガイダンスの最新版は、グリーンローンに関するガイダンス（2023年版）（英語）です。
1. 調達資金の使途
- グリーンローンの基本的な決定要因は、調達資金がグリーンプロジェクト（R&D を含む、関連的支出や付随支出を含む）のために使われることであり、そのことは、融資書類等に記載すべきと規定。
- グリーンプロジェクトに適格な事業区分例示。
2. プロジェクトの評価と選定のプロセス
- グリーンプロジェクトの選定基準やプロセス等について、貸し手に伝達すべき点（グリーンプロジェクトの環境サステナビリティ面での目標、グリーンプロジェクトが適格な事業区分に含まれると決定したプロセス、環境・社会リスクの特定・管理に関するプロセスについての補足情報）を規定。
- 借り手に対し、以下を奨励。
- 上記の情報を環境サステナビリティ戦略等の文脈に位置づけること
- 適宜タクソノミーや適格基準等との整合性に関する情報を提供し、また、グリーンプロジェクト選定の際に使用した環境基準・認証に関する情報を開示すること
- グリーンプロジェクトの負の環境社会影響に関する重要なリスクの緩和策を特定するプロセスを有すること
3. 調達資金の管理
- 調達資金は別勘定あるいは適切な方法で追跡する形で管理するべきと規定。
- 調達資金の管理は、借り手のグリーンプロジェクトに対する融資・投資業務に関連した正式な内部プロセスにおいて、借り手が証明するべきである、と規定。また、未充当金が発生する場合にはその一時的な運用方法に関する貸し手への情報提供をすべきと規定。
- ローンファシリティが1つ以上のトランシェの形をとる場合、各グリーントランシェを明確に指定し個別勘定で管理することを規定。
4. レポーティング
- 貸し手に対して開示すべき調達資金の使途に関するレポーティングの内容等について規定。
- 特に、調達資金全てがグリーンプロジェクトに充当されるまでは毎年更新した情報を、また、その後も重要な事象が生じた場合は、必要に応じて調達資金の使途に係る最新情報を入手可能な状態にすべきと規定。
- 毎年のレポーティングに含むべき内容を規定。
- プロジェクトによる期待される／実際のインパクトの伝達においては、透明性が特に重要であるとし、定性的にまた可能な場合は定量的な指標の使用、及び、（定量的な指標を用いる場合には）その方法論及び・又は前提条件の開示を推奨。
上記4つの核となる要素には含まれていませんが、GLPは外部レビューの実施を定めています。グリーンローンの借り手に対し、上記のグリーンローン原則の４要素との整合性について外部レビューを取得することを、適宜、推奨しています。
また、ローン市場が伝統的に関係者間の関係性を重視する市場であることに留意して、別の方法として、貸し手が借り手とその活動について幅広い実際的な知識を持つであろうことを考えれば、借り手はグリーンローンが GLP の主な特性に合致することを確認する内部的な専門性を実証または開発してきている場合には、借り手による自己認証で十分な場合もありうるとしています。また、適宜、借り手は、「グリーン、ソーシャル、サステナビリティ・リンク・ローンの外部レビューに関するガイドライン（英語）」を参考にするべき、とも記載があります。
参考文献
- LMA, APLMA, LSTA (2018) 「グリーンローン原則（環境省仮訳）」
- LMA, APLMA, LSTA (2021) 「グリーンローン原則（環境省仮訳）」
- LMA, APLMA, LSTA (2023) Green Loan Principles
- LMA, APLMA, LSTA (2023) Guidance on Green Loan Principles