ポイント
資本支出とSPTsを結び付けている事例
- ENEL社はイタリアのエネルギー関連企業。同社はエネルギー関連企業が脱炭素への移行実現のためにサステナビリティ・リンク・ボンドを発行するとともに、資本支出とSPTsを結び付けている事例。同社のサステナビリティ・リンク・ボンドでは、KPIsの一つとして、資本支出がEUタクソノミーに則している比率を含めている。
- また同社は、2022年にサステナビリティ・リンク・ファイナンシング・フレームワークを策定し、2025年までに同フレームワークのもとでの資金調達比率を70%とする旨公約している。
詳細
発行概要 | 発行年月 | 額(百万USD) | 償還期日 | 利率 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2023/2 | 801 | 2031/2 | 4.00% | |
2 | 2023/2 | 801 | 2043/2 | 4.50% | |
3 | |||||
4 | |||||
2023年2月にサステナビリティ・リンク・ファイナンシング・フレームワークを策定。 |
|||||
サステナビリティ計画との関係 |
以下は、ENEL社のサステナビリティ戦略の優先事項。これらは、同社が発行したサステナビリティ・リンク・ボンドのSPTsに関連づけられている。
|
||||
SPTs |
|
||||
KPIs |
上記の5つのKPIs。同社全体のカーボンフットプリントから見た場合、発電に伴うGHG排出量(KPI1)は36%、発電と最終電気利用者からのGHG排出量(KPI2)は57%、そしてガス販売に関するGHG排出量は20%を占めている。 |
||||
債券の特性 |
SPTsを達成できなかった場合、25bpsのクーポンステップアップ。ただし、同社のコントロールが及ばない理由により達成できないは対象としないとともに、SPTsを適宜調整する。 |
||||
レポーティング |
KPIsのパーフォーマンスやSPTsの達成状況等必要な情報を毎年報告するとともに、SPTsのパフォーマンスに影響を及ぼし得る場合にも情報を開示する。 |
||||
検証 |
毎年SPTsに対する同社のパフォーマンスいついて、独立した外部検証を実施。同検証報告書を開示する。 |
||||
外部レビュー |
2023年2月、サステナビリティ・リンク・ファイナンシング・フレームワークに関してMoody’sよりSPOを取得。ICMAのサステナビリティ・リンク・ボンド原則やLMA/APLMA/LSTAのサステナビリティ・リンク・ローン原則に沿ったものとなっているかを含めレビューを実施。KPIの設定については、マテリアリティ、過去からのトレンドとの比較、同業者との比較、国際ベンチマークとの比較を通じて、妥当性、重要性、期待されるインパクトという観点から評価。 |
- 出所:Moody’s (2023) “Second Party Opinion” を基に環境省作成