ポイント:サプライチェーンを考慮した事例
- Grieg Seafoodは、ノルウェーを拠点とする世界有数のサケ養殖業者である。北欧、北米に養魚場を展開しており、オスロ証券取引所に上場している。
- 2020年6月に同社にとって初のグリーンボンドを発行した。金額は10億ノルウェークローネ(約122億円)、期間は5年である。
- 当該グリーンボンドの主な資金使途は、持続可能な養殖、汚染防止等の環境プロジェクトである。また、アマゾンの熱帯雨林保護に失敗したと非難されている米国の穀物企業を親会社に持つ企業が生産した大豆を、そのリスクが軽減されるまで資金使途から除外した。
- 債券発行の共同主幹事とグリーンボンドアドバイザーはDNB MarketsとNordeaで、同社のグリーンボンドフレームワーク策定等も支援した。
- 同社では、持続可能なビジネスのためのアプローチとして、クリーンな海、持続可能な食品、利益と革新、人々、地域社会を重要な5本柱として示しており、グリーンボンドフレームワークにおいては、クリーンな海、持続可能な食品の分野の取組に焦点を当てている。
詳細
発行概要 | 発行年月 | 額(百万USD) | 償還期日 | 利率 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2020/6 | 105 | 2025/6 | NIBOR + 340 bps (4半期毎利払い) |
||||||||||
中長期計画との関係 |
年次報告書において、「持続可能なビジネスのためのアプローチ」として、ビジネスを通じた中長期的な価値創造に係る方針が述べられている。クリーンな海、持続可能な食品、利益と革新、人々、地域社会を重要な5本柱として示しており、グリーンボンドフレームワークでは、そのうちクリーンな海、持続可能な食品の分野の取組に焦点を当てている。 |
|||||||||||||
フレームワーク |
同社では、今般のグリーンボンドの発行に際して、2020年5月にグリーンボンドフレームワークを策定した。 |
|||||||||||||
調達資金の使途 |
環境的に持続可能な養殖、汚染の防止と管理、水と排水管理、廃棄物管理 |
|||||||||||||
プロジェクト評価及び選定プロセス |
プロジェクト評価と選定プロセスの実施に際し、内部グリーンボンド委員会を設立した。グリーンボンド委員会は、経営、技術、持続可能性、財務の各チームと関連する農業地域のメンバーで構成されており、全ての決定はコンセンサスベースで行われる。グリーンボンド委員会は、6か月ごとに、またはその他必要に応じて開催される。 |
|||||||||||||
調達資金の管理 |
同社の財務部門は、グリーンプロジェクトの充当資金額が未払いのグリーンボンドの合計を超えるように常に調整する。グリーン資産・プロジェクトが売却された場合、またはその他の理由でグリーンプロジェクトとして適格でなくなった場合、必要に応じて他の適格資産およびプロジェクトに置き換えられる。 |
|||||||||||||
レポーティング |
グリーンプロジェクトの進捗追跡のため、報告書を毎年当社ウェブサイトにて公開する。報告書は、アロケーションレポートとインパクトレポートから構成される。 アロケーションレポートには、以下情報が含まれる。
インパクトレポートは、各プロジェクトの資金調達シェアに基づいて、このグリーンボンドフレームワークの下で資金提供されたグリーンプロジェクトの環境影響を開示する。評価は以下の指標に基づいて行われる。
|
|||||||||||||
外部レビュー |
2020年、グリーンボンドフレームワークに対するSPOを取得(CICERO)。 |
- CBI(2020)“Data”、Grieg Seafood (2020) “Grieg Seafood Green Bond Framework”、 CICERO (2020) “Second opinion by CICERO Center for International Climate Research” Grieg Seafood (2020) “ 2019 Annual Report“等を基に環境省作成