世界初のプラスチック廃棄物削減ボンド(私募債)の事例
- Henkel社は、ドイツに本社を置く大手生活用品メーカーである。欧州、北米を中心に約130か国へ事業展開しているグローバル企業で、家庭用洗剤やシャンプー・歯磨き粉等の生活用品を製造・販売している。なお、接着剤メーカーとしては世界最大規模の売上高を誇る。
- 同社のサステナビリティ戦略において、製品・サービスから生じる廃プラスチック削減への取り組みとして、2025年までに梱包材の100%リサイクル・ 再利用化や、石油由来のプラスチック使用量の 50%削減、自然環境へのプラスチック廃棄ゼロ等を目標に掲げている。サステナビリティレポートの第三者保証はPwCが実施している。
- 同社が発行したボンドは、第一生命保険、第一フロンティア生命保険の私募によるものであり、総額70百万USD(約74億円)で、期間5年、利回りは年1%台前半である。調達資金は、同社が製造する商品のリサイクル性の向上や、製造過程における環境負荷の少ない素材の使用率向上(プラスチック素材使用量削減)に資する取組みに充当するとしている。
- 同社は、廃プラスチック削減に向けた国際アライアンスである「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」の創設メンバーであるほか、プラスチックごみを収集した個人に現金・物を交換する取り組みを進める企業である「Plastic Bank」のパートナーも務めている。
詳細
発行概要 | 発行年月 | 額(百万USD) | 償還期日 | 利率 | |
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1 | 2020/7 | 70 | 2025/7 | 1%台前半 | |
同社は、当該ボンドに先行して、2018年にサステナビリティ・リンク・ローンを調達した実績がある。同ローンは同社のサステナビリティ格付の評価に連動する仕組みとなっており、調達資金は同社のサステナビリティ活動に充当された。 | |||||
中長期計画との関係 |
同社のサステナビリティ戦略において、サステナビリティにおけるリーダーシップに注力し、環境負荷(フットプリント)を削減しつつ、消費者、顧客、事業展開先の地域コミュニティ、自社にとってより大きな価値を創出することを掲げている。 注力分野として、社会的発展、パフォーマンス、安全衛生、エネルギーと気候、原材料と廃棄物、水と廃水の6つを掲げており、今般のボンドでフォーカスしているプラスチックごみの削減は「原材料と廃棄物」に位置づけられている。 |
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フレームワーク |
2020年3月にプラスチック廃棄物削減ボンドフレームワークを策定して開示。今後、適宜アップデートを予定。 |
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調達資金の使途 |
同社が製造する商品のリサイクル性の向上
製造過程における環境負荷の少ない素材の使用率向上(石油由来プラスチックの使用量削減)
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プロジェクト評価及び選定プロセス |
サステナビリティマネジメントや財務、IRの各部門の代表者で構成するサステナブル・ファイナンス・グループ(SFWG)を設置。SFWGは、各プロジェクトの担当チームと協議のうえ、資金使途の対象となる適格プロジェクトを選定する。SFWGは年2回、適格プロジェクトが適格性を維持していること等を検証する。 |
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調達資金の管理 |
サステナブル・ファイナンス・レジスター(Sustainable Finance Register)を設定して、資金管理を行う。SFWGは年1回、サステナブル・ファイナンス・レジスターを検証し、資金収支のレポーティングに責任を負う。 |
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レポーティング |
インパクト(廃プラスチック削減量等)は年次でモニタリングする。具体的なモニタリング項目としては、削減されたプラスチックごみの量、再利用・リサイクル可能な包装の割合、包装に占めるリサイクル素材の使用割合等となる見込。 |
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外部レビュー | - |
- Henkel (2020)Henkel Plastic Waste Reduction Framework、Henkel (2020) "News Release Henkel First Company to conclude a plastic waste reduction bond"等を基に環境省作成