ポイント

  • Icadeはフランスにおいて不動産の投資、開発、維持管理・コンサルティングを展開する企業。不動産対象は住宅、オフィスビル、医療施設、ビジネスパーク(複合商業施設)、ショッピングセンター等を手掛ける。総資産は90憶ユーロを超え、オフィスビルとビジネスパーク投資においてはパリにおいて、医療施設投資ではフランスでリーダー的な立場にある。
  • GHG削減に向け商業ビル等においてCO2排出量を2025年までに2015年比で45%削減、全ての新築商業ビルは2022年までにHQE(フランス高環境品質)を取得するなど野心的な目標を設定。
  • 資金使途として、国際的なグリーンビルディング認証の取得のみならず、公共交通への近さやオーナーとテナントが環境行動計画について協議する委員会の有無などが対象ビルの条件に含まれる。
  • グリーンビルディングの取り組みの一環として、建設資材のリサイクル、食料等有機廃棄物のコンポスト化、ルーフトップの農園造成などを採り入れている。
  • レポーティングについて、2019年3月にClimate Bonds Initiativeより優良レポーティングのトップ10に選定された。例えば、Icade社のレポーティングでは、適格性基準、アウトプット指標、インパクト指標が事業カテゴリー別に記載できるフォーマットを使っている。また、ICMAのグリーンボンド原則におけるインパクトレポーティング指標の作成にも貢献している。

詳細

発行概要   発行年月 額(百万USD) 償還期日 利率
1 2017/9/13 715.98 2027/9/13 1.5%
中長期計画とグリーンボンド
  • フランスにおいてGHG排出量の約25%が不動産部門であるとの認識のもと、Icade社はGHG削減に向け野心的な目標を設定。2019‐2022年の新戦略において以下の目標値を設定。
    • ① 商業ビルおよびビジネスパークにおいて二酸化炭素排出量を2025年までに45%削減(kg/床面積/年。2015年比)
    • ② 全ての新築商業ビルは2022年までにHQE認証を取得
    • ③ 生物に配慮したビジネスパーク(開発前と後で緑化面積等がネット増)の比率を2022年までに50%以上とする。
フレームワーク
  • 2017年に作成されたグリーンボンドフレームワークの概要は以下のとおり。
調達資金の使途
  • グリーンビルディング(商業ビル、ビジネスパーク、病院等医療施設)で以下の基準を満たすもの:
    • ① グリーンビルディング認証であるBREEAM(イギリス建築研究所建築物性能評価制度)またはHQE(フランス高環境品質)取得
    • ② 公共交通からの距離が400メートル以内
    • ③ オーナーとテナントが環境行動計画について協議するグリーンリース委員会(Green Lease Committee)の存在あるいは設置予定
  • 省エネ(LED等で20%以上の省エネを達成するもの)
  • 再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱)
  • 環境配慮型輸送(電気自動車、低炭素輸送手段)
プロジェクト評価及び選定プロセス
  • 同社の投資及びサステナビリティ政策に沿って事業を選定。財務責任者と関係部門長(不動産投資、ポートフォリオ管理、CSR等)から構成されるグリーン委員会(Green Committee)が適格事業を評価し選定する。同委員会は、調達資金分配等進捗に関する報告も受けこれをレビューし承認する。
調達資金の管理
  • 社内の会計システムにて資金管理を行う。
レポーティング
  • 調達資金の配分額、調達資金が充当されたプロジェクトリスト、環境効果を最低年1回で開示。また、不動産部門における炭素削減量算定方法を発刊。レポーティングは自社ホームページにおいて行う。
外部レビュー
  • 2017年、グリーンボンドフレームワークに対するセカンドオピニオン(Sustainalytics)
  • 資金使途と未配分資金および資金使途の適格性について、毎年外部監査(PricewaterhouseCoopers)。
  • セカンドオピニオンおよび外部監査の結果は自社ホームページにて開示。
  • Icade(2017)“Icade Green Bond Framework”、ICADE(2017)“Green Bond Reporting at 31/12/2017” を基に環境省作成