ポイント

  • 香港鉄路有限公司(MTR香港)は、香港の地下鉄を運営する企業。1975年、香港政府を唯一の株主として誕生。2000年に一部民営化された。2007年、九広鉄路公司(Kowloon Canton Railway)と合併。現在は、鉄道事業の他に住宅・商業施設の開発や賃貸管理なども手掛ける
  • グリーンボンドによるグリーン調達が基本だが、アセットを広げるためにグリーンファイナンシングフレームワークを新たに策定したのち、グリーンローンによる資金調達も実施
  • 同一事業について複数回の資金調達を実施しており、資金調達ごとに資金使途および充当額を公開
  • 低炭素運輸や省エネ事業に加えて、生物多様性保全事業のための資金調達も実施
  • サステナビリティレポートでは、ガバナンス・安全性・顧客サービス・環境保護・人的資本・責任ある調達・地域への投資の各テーマについて情報を開示。一部については、数値目標や中期目標を公開

詳細

発行概要   発行年月 額(百万USD) 償還期日 利率
1 2016/11/2 600 2026/11/2 2.500%
2 2017/6/28 130.64 2027/6/28 3.300%
3 2017/7/27 43.28 2047/7/17 2.980%
4 2017/9/28 92.42 2032/9/20 2.460%
5 2017/9/27 100 2047/9/27 3.375%
6 2017/9/15 40.29 2047/9/06 2.830%
7 2018/6/28 44.33 2020/6/29 2.520%
8 2018/5/2 52.61 2021/5/02 2.560%
9 2018/3/28 29.29 2048/3/28 3.150%
  • グリーンローン/クレジットファシリティ 融資枠

    設定年2018 期間2023/6/26 融資枠HKD2,500百万

  • プロジェクト・ポートフォリオ
    • ・観塘線(Kwun Tong Line)延長事業(炭素運輸)
    • ・南港島線(South Island Line)新設事業 (低炭素運輸)
    • ・空気冷却器取替事業(省エネルギー)
    • ・線路沿いのエネルギー貯蔵事業(省エネルギー)
    • ・落馬洲湿地(Lok Ma Chau Wetland)保全事業 (生物多様性)
中長期計画とグリーンボンド
  • グリーンファイナンスレポートでは、適格投資事業ごとに、インパクトを公開。その指標の一部は、サステナビリティレポートで取組みと進捗について情報公開されている指標と連動している模様。
フレームワーク
  • 既存のグリーンボンドフレームワーク(2016年)のアセットクラスを拡大する意図でグリーンファイナンシングフレームワークを新たに策定(2018年)
調達資金の使途

適格投資事業

  • 低炭素運輸
  • 省エネルギー
  • 持続可能な駅や不動産
  • 気候変動適応
  • 生物多様性と保全
  • 水管理
  • 廃棄物管理
  • 汚染防止
プロジェクト評価及び選定プロセス
  • グリーンファイナンシングフレームワークにて提示される適格投資事業のいずれかであるかを財務部門ならびにコーポレートレスポンサビリティ部門がレビュー承認。
調達資金の管理
  • 適格投資事業への紐づけ。社内管理システムのグリーンファイナンスレジスター(Green Finance Register)において、グリーンファイナンス関連の処理(ISIN、元本残高、価格決定日、償還日、融資元など)を記録。また資金使途の情報として、該当適格投資事業、投資内容の概要、投資額と残高、可能な範囲でポジティブ・インパクトを記載。
レポーティング
  • 2018年より、グリーンファイナンスレポートを年次で作成・公開。2018年6月以降のグリーンファイナンス関連の資金処理について、資金使途と適格投資事業への紐づけを記録・公開
外部レビュー
  • 2016年10月、グリーンボンドフレームワークを策定し、セカンドオピニオン取得(Sustainalytics)
  • 2018年6月、グリーンファイナンシングフレームワークを策定したが、セカンドオピニオンは取得せず
  • 2018年に発行したグリーンファイナンスレポートは、香港品質保證局(HKQAA)による第3者検証を取得
  • MTR香港(2018)“Sustainability Report 2018”, MTR香港(2018)“Green Finance Report 2018”, MTR香港(2018)“Green Finance Framework”, Sustainalytics(2016)“MTR Corporation Limited Green Bond Framework Overview and Second Opinion”などを基に環境省作成