サステナビリティ・リンク・ローン原則
(Sustainability Linked Loan Principles: SLLP)
サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)は、サステナビリティ・リンク・ローン借入に関する自主的ガイドラインです。SLLPは、サステナビリティ・リンク・ローン商品の開発を促進し、誠実性を維持するため、シンジケートローン市場で活動している主要な金融機関の代表から構成される作業部会によって2019年に策定され、その後逐次改訂が行われてきています。SLLPは、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)、ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)が発行元となっています。
2020年10月現在の最新版はSLLP(2020年版)です。SLLP(2020年版)は、次の4つの核となる要素で構成されています。
なお、2020年5月には、Q&Aを中心としたサステナビリティ・リンク・ローン原則に関するガイダンス(Guidance on Sustainability Linked Loan Principles)(英語)を公表しています。
1. 借り手の全体的な企業のサステナビリティ戦略との関係
- 借り手は、サステナビリティ戦略に規定されているサステナビリティ目標と、その目標がどのように SPTsと連携するかを貸し 手に明確に伝える必要があると規定
- 借り手は、準拠を目指すサステナビリティ基準または認証を開示することを奨励
2. 目標設定 ― 借り手のサステナビリティの測定
- 取引ごとに、借り手と貸し手グループとの間で適切な SPTs を交渉し、設定する必要を規定
- SPTs は、借り手のビジネスにとって野心的かつ有意義でなければならず、事前に設定したパフォーマンスターゲットベンチマークに関してサステナビリティの改善が結び付けられている必要を規定
- SPTs の適切性について、第三者の意見を求めるよう奨励される場合があると規定
- SPTs の適切性について、第三者の意見が求められない場合、借り手はその手法を検証するために社内の専門知識を示す、または開発・発展させるよう強く推奨
3. レポーティング
- 借り手は、可能であれば、SPTs に関する最新情報を常に入手できるようにしておき、1 年に 1 回以上、こうした情報をローンに参加している機関に提供する必要を規定
- 借り手は、SPTs に関する情報を公式に報告するよう推奨されるべきものの、必要に応じて、借り手はこの情報を公開せずに、 内密に貸し手と共有することを選択することができることを規定
- 借り手は、基本となる手法および/または前提の詳細を提供することも奨励
4. レビュー
- 外部機関によるレビューの必要性は、取引ごとに、借り手と貸し手との間で交渉され、合意されることを規定
- SPTs に関する情報が公開されない、またはかかる情報に監査/保証報告書が添付されていないローンの場合、借り手は SPTs に対するパフォーマンスの外部機関によるレビューを依頼することを強く推奨
- 適切な場合には、外部機関によるレビューを公開することも推奨
- 外部機関によるレビューが依頼されない場合、SPTs に対するパフォーマンスの算定を検証するために社内の専門知識を示す、または開発するよう強く推奨
また、付録で参考のためのSPTの一般的なカテゴリーを例示し、そのカテゴリーで測定しようとする可能性のある改善例についても示しています。
参考までにSLLPの日本語版(2019年版)はこちらをご覧ください。
参考文献
- LMA, APLMA, LSTA (2019) 「サステナビリティ・リンク・ローン原則(環境省仮訳)」
- LMA, APLMA, LSTA (2020) Sustainability Linked Loan Principles
- LMA, APLMA, LSTA (2020) Guidance on Sustainability Linked Loan Principles