グリーンローン原則(Green Loan Principles: GLP)
グリーンローン原則(GLP)は、グリーンローン借入に関する自主的ガイドラインです。GLPは、グリーンローン商品の開発を促進し、誠実性を維持するため、シンジケートローン市場で活動している主要な金融機関の代表から成る作業部会によって2018年に策定され、その後逐次改訂が行われてきています。GLPは、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)、ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)が発行元となっています。
最新版のGLP(2025年版)(英語)は、4つの核となる要素で構成されています。以下はその概要です。
なお、Q&Aを中心としたグリーンローンに関するガイダンス(2025年版)(英語)も作成されております。
1. 調達資金の使途
- グリーンローンの基本的な決定要因は、調達資金がグリーンプロジェクト(R&D を含む、関連的支出や付随的支出を含む)のために使われることであり、そのことは、融資文書等に記載しなければならない。
- 適格なグリーンプロジェクトの分類を例示。
2. プロジェクトの評価と選定のプロセス
- 借り手は、以下の点を貸し手に対して明確に伝えなければならない。
- グリーンプロジェクトの環境面での持続可能性に係る目標
- グリーンプロジェクトが適格なグリーンプロジェクトの分類に含まれると判断するプロセス;及び
- 関連するプロジェクトに付随すると認識された、実際の又は潜在的な、環境的、社会的リスクを特定・管理に関するプロセスについての補完情報
- 借り手はまた、以下を実施することが奨励される。
- 上記の情報を、環境面での持続可能性に関する包括的な目的、戦略等の文脈に位置づけること
- 関連する場合は、タクソノミーや適格性基準等との適合に関する情報を提供し、さらに、プロジェクト選定において参照した環境基準又は認証を開示すること;並びに、
- プロジェクトから生じる社会及び/又は環境への負のインパクトによる既知又は潜在的な重大なリスクに対する緩和策を特定するプロセスを有すること
3. 調達資金の管理
- 手取金、又は、手取金と同等の金額は、専用口座に入金されるかあるいは適切な方法で追跡されなければならない。
- 調達資金の管理は、グリーンプロジェクトに対する借り手の投融資業務に関連した正式な内部プロセスにおいて、借り手によって証明されるべきである。また、未充当金の残高についての一時的な運用方法とその期間を貸し手に知らせるべきである。
- グリーンローンがローンファシリティの下で一つ又は複数のトランシェに分かれている場合、各グリーントランシェを明確に指定し、その手取金又は手取金と同等の金額は別の勘定に入金されるか又は借り手によって適切な方法で追跡されなければならない。
4. レポーティング
- 借り手は、資金使途に関する最新の情報を作成・維持し、容易に入手できるようにしなければならず、完全に資金充当されるまで、年に一度は更新し、かつ、重要な変化があった場合は速やかに更新しなければならない。
- 年次報告書には、グリーンローンの調達資金が充当されているグリ ーンプロジェクトのリスト等が含まなければならない。
- 期待される及び/又は達成されたインパクトを伝える上では、透明性が特に重要であるとし、定性的なパフォーマンス指標、及び、実現可能な場合には定量的なパフォーマンス指標の使用、及び、定量値を導く上で用いた主要な算出方法及び/又は仮定を開示することが望ましい。
上記4つの核となる要素には含まれていませんが、GLPでは、グリーンローンの借り手に対し、適切な場合は、グリーンローン原則の4要素との適合について外部レビューを取得すべきとしています。外部レビューを取得するべき場合として、特に、借り手自身が、グリーンローン原則の4つの核となる要素との適合を確認するための内部の専門性及びリソースがあることを十分に証明できないケースをあげています。
また、適宜、借り手は、「グリーン、ソーシャル、サステナビリティ・リンク・ローンの外部レビューに関するガイドライン(英語)」を参照するべき、とも記載があります。
参考文献
- LMA, APLMA, LSTA (2025) Green Loan Principles
- LMA, APLMA, LSTA (2025) Guidance on Green Loan Principles
- LMA, APLMA, LSTA (2024) External Review Guidance for Green, Social, and Sustainability-Linked Loans