ポイント

SPTs未達成の場合のみならずレポーティングが不十分であった場合等にもマージン調整が行われる事例

  • Südzucker AG社は、砂糖、でんぷん、果物等の分野で食品業界をリードする多国籍企業。また、エネルギー作物分野では、EUを代表するエタノール生産企業である。同社は、同社が100%所有するオランダの子会社(Südzucker International Finance B.V., Oud-Beijerland)を通じてサステナビリティ・リンク・ボンドを発行した。クーポン又はマージンの調整が行われるケースとして、SPTsが達成されなかった場合に加え、SPT(s)に対する実績に関して満足のいく形でするレポーティングがなかった場合、及び、SPTの判定日の時点で、SPT(s)の検証が提供されなかった場合も含めている。

詳細

発行概要 発行年月 金額(百万USD) 償還期日 利率
1 2022/10 394.25 2027/10 5.13%
2

国際資本市場協会(ICMA)の2020年版サステナビリティ・リンク・ボンド原則、及び、ローン市場協会(LMA)の2022年版サステナビリティ・リンク・ローン原則に基づき、2022年10月、サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワークを策定。

サステナビリティ計画との関係

2022年、同社はSBTiに参加し、SBTiガイドライン・基準に基づきGHG排出削減目標を設定・提出した。 SPO取得時には、SBTiの目標の検証結果は出ていないが、SPOの結果では、下記SPTsは概ねSBTiの基準と整合性があるとしている。

SPTs
  • スコープ1及びスコープ2のGHG排出を、2018年比で、2026年末までに32%削減(判定日は2026年12月31日)
  • スコープ1及びスコープ2のGHG排出を、2018年比で、2030年末までに50%削減(判定日は2030年12月31日)
KPIs

スコープ1とスコープ2のGHG排出(絶対値、CO2百万トン)

債券の特性

以下のトリガーとなる事象の発生があった場合、クーポン又はマージンの調整が行われる。

  • 判定日の時点で、SPT(s)が達成されていない場合
  • SPT(s)に対する実績に関して、満足のいく形でするレポーティングがなかった場合
  • 判定日の時点で、SPT(s)の検証が提供されなかった場合
レポーティング

各KPIsのパフォーマンスについて、年次で、同社ウェブサイトに掲載の年次報告書又はその他文書においてレポ―ティングを実施する。レポ―ティングには、以下の情報が含まれる。

  • KPIsのパフォーマンス
  • KPIsのSPTsに対するパフォーマンスに関する外部検証(external verification assurance)その他、 SPTsに対するKPIsの進捗を投資家等がモニタリングすることを可能にする追加関連情報

また、可能な場合には、以下の事項についてもレポーティングに含める。

  • KPIsの値の変化の主要因を説明する、定性又は定量的側面からの説明
  • パフォーマンス改善のサステナビリティへの正のインパクト

計算方法の変更やデータアクセスビリティの向上等によって生じる、KPIの再評価、及び/又は、SPTsの再定義、及び・又はベースライン試算の調整、等

検証

発行後、少なくともSPTsの達成評価に関連する日付までは、毎年、外部検証を取得予定。

外部レビュー

S&P Global RatingsのSPOを取得。

  • 出所: Environmental Finance (2022) “SLBのデータ(2022年12月15日ダウンロード)”、Südzucker (2022) “Sustainability-Linked Financing Framework”、Südzucker社ウェブサイトを基に環境省作成