グリーンボンド原則(Green Bond Principles: GBP)

グリーンボンド原則(GBP)は、グリーンボンド発行に関する自主的ガイドラインです。グリーンボンドの透明性の確保、情報開示及びレポーティングを推奨し、市場の秩序を促進させるため、2014年1月に策定され、その後逐次改訂がおこなわれてきています。GBPの事務局は、国際資本市場協会(ICMA)が担っています。GBPは、グリーンボンドの国際的な基準として一般的に認識されています。

2021年8月現在の最新版はGBP(2021年版)(英語)PDFデータです。2019年、2020年については、改訂は行われず、3年ぶりの改訂となりました。
GBP(2021年版)は、これまでの4つの核となる要素(調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティング)に加えて、新たに重要推奨事項(外部レビュー、グリーンボンドフレームワーク)を提示しています。

なお、グリーンボンド原則(GBP)を補完・明確化するため、以下を公表しています。

①グリーンプロジェクトマッピング2021年版(英語)PDFデータ

②ガイダンスハンドブック:GBPの解釈等に関するよくある質問への回答集2021年版(英語)新しいタブまたはウィンドウで開く

③インパクトレポーティング調和化に関する冊子2021年版(英語)PDFデータ

④グリーン、ソーシャル、サステイナブル債券市場のためのタクソノミー・命名法の有用性(英語)PDFデータ

⑤SDGsとの関連性に関するハイレベルマッピング2020年版(英語)新しいタブまたはウィンドウで開く

⑥サステナビリティ基準及びラベルに関するレポート2020年版(英語)PDFデータ

GBPの4つの中核要素

1. 調達資金の使途

  • グリーンプロジェクトの対象区分を例示
  • 適格性のあるグリーンプロジェクトは、5つの環境目的(①気候変動緩和策、②気候変動適応策、③自然環境保全、④生物多様性保全、⑤汚染対策)に資するものとして規定
  • (パリ協定の目標に沿ったネット・ゼロ・エミッション戦略実施のためのプロジェクトの資金調達の場合)発行体レベルの情報開示と気候変動戦略に関するガイダンスは、「気候変動ファイナンス・ハンドブック(英語PDFデータ日本語PDFデータ」に記載されていると紹介

2. プロジェクトの評価と選定のプロセス

  • グリーンプロジェクトの選定基準やプロセス等について、投資家に伝達すべき点(①環境面での持続可能性に係る目標、②グリーンプロジェクトの決定プロセス、③環境・社会リスク特定・管理のプロセスに関する補足情報)を規定
  • 発行体への奨励事項(①投資家に伝える情報を、発行体の包括的な目的、戦略、方針及び/又はプロセスの中で位置づけること、②適宜、プロジェクトと(いずれかの)タクソノミーとの整合性があるかの情報提供、③プロジェクトの負の社会・環境インパクトのリスク緩和策特定のプロセスを有すること)を規定

3. 調達資金の管理

  • 調達資金は別勘定で管理すること、および、管理の透明性確保について規定

4. レポーティング

  • 調達資金の使途に関するレポーティングの内容等について規定
  • 特に、調達資金全てがグリーンプロジェクトに充当されるまで、また、その後も大きな状況の変化があった場合は、適時に調達資金の使途に係る最新情報を公開するべきと規定
  • 年次のレポーティングには、調達資金を充当した事業リスト、その事業概要、充当額、期待されるインパクトを含めるべきと規定
  • プロジェクトによる効果の測定にあたっては、定性的にまた可能な場合は定量的に行い、その定量的な測定の方法論および、または前提条件を開示することを推奨
  • 発行体は、「インパクトレポーティング調和化に関する冊子2021年版(英語)PDFデータ」のガイダンスとテンプレートを、参照し、採用するべき。

重要推奨事項

グリーンボンドフレームワーク

  • GBフレームワークに記載される以下の内容を規定
    • ✔ GBP4要素との整合性(べき)
    • ✔ 発行体のサステナビリティ戦略の文脈での関連情報の要約(推奨)
    • ✔ 事業選定に用いるタクソノミー・基準・認証制度(奨励)
  • 投資家が、GBフレームワークを、直ちに入手できるようにするべきと規定

外部レビュー

また、外部レビュー機関によるレポートの内容と情報開示、外部レビュー機関の専門性と倫理的基準に関する自主的ガイダンスを定めた「外部レビューに関するガイドライン」が2018年6月に策定され、2020年(6月)と2021年(2月)に改訂されました。同ガイドラインでは、外部レビューのサービスとしてセカンドパーティ・オピニオン、検証、認証、スコアリング/レーティングの4つを定義した上で、外部レビュー機関が備えるべき5つの倫理的・専門的観点からの原則として、①整合性(Integrity)、②客観性(Objectivity)、③専門的能力および適切な配慮(Professional competence and due care)④機密性(Confidentiality)、⑤専門家としての振舞い(Professional Behaviour)をあげています。これらの原則に基づき、以下のことが外部レビューに求められています。

  • 外部レビューを実施するための組織構造や実施手順、外部レビュー実施のために必要な経験や資格を有するスタッフの配置
  • 外部レビューの目的・範囲、独立性と利益相反に関する声明、定義、分析のアプローチや手法、レポートのアウトプットなどに関する情報の開示
  • グリーンボンドの要件に合うプロジェクト分野に関する専門性、環境面での利点の評価、インパクトや関連するリスクに対する評価、グリーンボンド原則との整合性の確認

尚、「外部レビューに関するガイドライン」の2020年の改訂では、特にセカンドパーティー・オピニオンに関する独立性の重要性について補完されています。
また、同ガイドラインの2021年の改訂では、ICMAが2020年6月に作成した「Sustainability-Linked Bond Principles」を受けて、同原則で要求されているKey Performance Indicators(KPIs)やSustainable Performance Targets(SPTs)に関して外部レビュー機関に求められる専門性、外部レビューに含める内容、情報開示する内容等について追記されています。
「外部レビューに関するガイドライン」2021年版(英語)はこちらPDFデータをご覧ください。

また、「外部レビューに関するガイドライン」の日本語版(2018年)はこちらPDFデータをご覧ください。

ICMAでは、2018年にサステナビリティボンド・ガイドラインを策定し、2021年に改訂PDFデータされました。同ガイドライン(およびICMAの「Guidance Handbook2021年版」)では、サステナビリティボンドは、調達資金全てがグリーンプロジェクトおよびソーシャルプロジェクトの初期投資又はリファイナンスのみに充当され、かつ、グリーンボンド原則とソーシャルボンド原則の4つの核となる要素に適合する債券としています。また、環境および社会的便益の両方がある場合、それをグリーンボンド/ソーシャルボンド/サステナビリティボンドのいずれで称するかは、発行体にゆだねられているとしています。
尚、サステナビリティボンド・ガイドライン2021年改訂版では、GBP2021年改訂版と同じく、4つの核となる要素に加えて、新たに重要推奨事項(外部レビュー、グリーンボンドフレームワーク)を提示しています。

*ソーシャルボンド原則はソーシャルボンド発行の自主ガイドラインとして2017年に策定され、現在2021年版PDFデータに更新されています。

参考文献

  • ICMA (2021) 'Green Bond Principles Voluntary Process Guidelines for Issuing Green Bonds'
  • ICMA (2021) 'Green Project Mapping'
  • ICMA (2021) 'Guidance Handbook'
  • ICMA (2020) 'Green, Social and Sustainability Bonds: High-Level Mapping to the SDGs'
  • ICMA (2021) ‘Harmonized Framework for Impact Reporting’
  • ICMA(2020)’Sustainability Standards and Labels – Overview for Green Bond Market Participants’
  • ICMA(2021)'Guidelines for Green, Social and Sustainability Bonds External Reviews'